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雄太へ

ピアノ

ピアノは三歳から始めた、これもママの希望で始めたこと。スイミングもね。

自分が中途半端で終わったピアノと泳げなくて水が怖かったスイミング。この二つが雄太と将太にあてがわれた。迷惑な話だね。

ピアノは練習が大切で毎日のようにピアノの音が聞こえた。本当に幸せな日々でした。キッチンから「もう一回」と声をかけて練習をさせるのが日課で毎年の発表会はドキドキするものの楽しみでした。雄太のピアノはいつも将太よりも難しいものが多かったけど心配で聞いているせいかあまり感動しなかった。

ところが、『ハウルの動く城』のテーマ曲を弾いた時、いつものようにドキドキしていたのに涙があふれてきた。ピアノの先生も涙ぐんでいた。本当に素敵だった。

中学でピアノを辞める時、記念にパパの好きなザ・ビートルズの『レット・イット・ビー』とママの好きなカーペンターズの『トップ・オブ・ザ・ワールド』を二人で連弾してくれたことは一生の思い出です。ありがとう。本当にありがとう。幸せです。

パパもあれこれ弾いて欲しい曲があったらしい。言わなかったけどね。

雄太はママからあてがわれたピアノだったけど小学校、中学校と歌の伴奏をすることがあって、ママは嬉しい思いをさせてもらった。無事に終わるまで緊張して疲れちゃったけどね。家の中にいつも音楽があって「幸せだな~」と思う毎日でしたよ。

何でもやってみたい子で取りあえず一回はやっていたけど、本当にやりたいことを雄太はやれたのかな。