【前回の記事を読む】表彰式で涙が…亡くなったおばあちゃんへ送った息子の作文

雄太へ

笑顔の大切さ

僕は笑顔が好きです。自分ではなく、ほかのだれかが笑顔でいてくれることが好きです。だから僕は、悲しい顔や怒った顔、泣いている顔が嫌いです。そんな顔の人たちにも、どうにかして笑ってもらいたいといつも思います。

でも、そんな顔している人は、皆なにかしら悲しい目やひどい目にあっています。だから僕は、そんな人たちに笑ってもらうために、その人のためにできることを一生懸命します。僕一人の努力だけですぐには笑ってもらえないけど、だんだんと笑顔が見られるようになっていくのがとても嬉しくて、僕も笑うことができるので、頑張ることができます。

そんな僕が笑顔の大切さに気付いたのは中学生になってからです。

中学生になって最初の夏休みのある日に、僕は、お母さんの友人の家に遊びに行きました。その家には、一人のおばあちゃんがいました。そのおばあちゃんは、体が不自由で、車椅子を使わないと動くこともできず、いつもはベッドで寝たきりの生活を送っていました。だけど、いつも明るくて僕の顔を見ると、とても楽しそうにしてくれていました。

おばあちゃんには孫がいなかったので、僕のことを孫のように大切にしてくれて、僕も本当に一緒に話をしていて楽しかったです。

十月くらいになって、おばあちゃんの娘である、お母さんの友達が足の手術をして入院してしまい、おばあちゃんは施設に入ってしまいました。今までみたいに簡単に会いに行くことができなくなってしまったけれど、それでも、一ヶ月に一度くらいは会っていました。

だけど、おばあちゃんは前みたいに明るくて元気のあるおばあちゃんではなくなってしまいました。僕は、おばあちゃんに元気になってもらいたくて、極力おばあちゃんのところへ行って話をしたり、いっしょにご飯を食べたりしていました。そうしていくうちに、だんだんと、おばあちゃんも笑ってくれるようになりました。だけど、娘さんの話になると悲しそうにしていました。

僕は、娘さんさえ退院してくれれば、すぐに元気で明るい、おばあちゃんに戻ってくれると思いました。ある日、娘さんの退院日が決まり、そのことをおばあちゃんに話しに行ったら、おばあちゃんはとても嬉しそうに、何度も笑ってくれました。その笑顔を見ていて、僕はとても嬉しかったです。