家に妹が戻ってきて、次は母です。母はまだ入院中でしたが母の状態もだいぶ落ち着いてきており、母もそろそろ退院を打診されてきていました。妹の子どもはまだ小学校低学年です。母の退院は良いことですがそれぞれが負担になりかねないのです。
手術後間もない妹は、家事も少しずつ増やしていっているような状況で、その状況下での母の帰宅はどうかというところでした。母を私の家に招く提案もしましたが、やはり母は自分の家で妹たちと三人で住みたいとのことで、母はもうしばらく別の病院で入院することになりました。
母の延長入院も終え、自宅に戻ってきました。妹の子どもからすると、三人で住んでいたのが、おばあちゃんもお母さんも同時期にいなくなったのはさぞ寂しかったことと思います。三人が揃うのは約二か月ぶりとなりました。
母は、退院して間もない頃こそ、家のあちらこちらを手入れするなど動いていましたが、そのうちだんだんと動きづらくなってきました。母は妹に、
「新聞とって」
「ティッシュとって」
「○○とって」
と言ってふりまわし、妹はもう呆れて怒ってしまい、
「もう! 私だってがん患者よ」
と言い返したそうです。母も妹も各々が、やや高齢での出産であり、妹の子どもも、よく、
「ママ、ママ」
と呼ぶので、妹としては当然の疲れが口に出てしまったようです。母は母で譲りません。
「あー、そうだったわね」
と、堂々と言い返していたのです。
老幼介護という言葉があるかどうかわかりませんが、三世代の共存、まして妹の負担は大変なものだったと思います。私は離れて自分の家族と住んでいます。母は、私の家へは来るつもりはなく、やはり自分の家で過ごしたかったのでしょう。それで多少家族の言い合いが起こってでもです。代わりに、私ができる限り母の家へ行き家事をし、病院への付き添いもするなどしていました。