源氏ボタル

夏が近づくと思い出す。何年前になるだろう。ウチの旦那が香川県高松市で勤務していた時、勤め先の人達と一緒に源氏ボタルを観に行った事がある。

町の名前も忘れてしまったけど、かなりの郊外だったと記憶している。

今ネットで調べてみると塩江町(しおのえちょう)とある。塩江町にお住まいのご同僚がいらしたので、私達は、そこへ一旦落ち着き、日の暮れるのを待った。

その間、そのお宅では色々お心のこもったお()まみを出して頂き、しばし雑談に花が咲いた。これも楽しい思い出である。

あの時の部長様のお顔、後輩のご同僚様方のお話、細々と思い出される。

さて、日もようやく落ちた頃、真っ暗な中、懐中電灯片手に細い小川に近づいて行った。サラサラとせせらぎの音が聞こえるようになると、沢山の蛍が飛び交っているのが見えた。それは美しく幻想的である。

更に近づくと、蛍は恐れずに、私達の体の周りを飛び交う。

私が知っている蛍火とは違い、一つ一つに結構なボリュームがあった。源氏ボタルは、標準的なものよりかなり大型のホタルなのだ。

源氏ボタルの名前の由来には2説有ったと思う。一つは、平家追討のため挙兵した源頼政の源氏、もう一つは、源氏物語の光源氏。源氏ボタルがあるのだ、平家ボタルも有っていい。

源氏ボタル以外の普通のホタルを平家ボタルと呼ぶらしい。他に平家ボタルより一回り小さい姫ボタルというのもあるそうな。

参加者の誰一人、蛍を持ち帰る者がいなかったのは、私達の良識だったのか、元々禁止されていたのか。

【前回の記事を読む】犬か猫なら「猫を飼いたい妻」に夫が浴びせかけた痛烈なひと言……