第2節 食事と排泄に関する知識と援助を知る
2)食について
食事摂取がもたらす意義をアセスメント(栄養状態、食事摂取基準、食事に関する分析、水・電解質)から考え、さらに食生活の支援について確認する。特に、援助をするうえでの安全性から誤嚥予防について知る。
(1)食事摂取について
生理的ニードは生命体としての必要度が高い欲求であるため、生命維持が必要な場合は、医療処置として高カロリー輸液による大静脈からのカテーテルの挿入や口や鼻から管を入れたり(経管栄養法)、胃瘻造設といった方法がとられる。
口からの食事が困難であっても生物学的に必要とされるカロリー、栄養素と水分の摂取は、医療技術によって可能である。しかしながら、食の重要性は生理学的に必要とされる物質の摂取のみではなく、口から食べるという刺激や楽しみ、食事を囲むことで人との交流や親睦といった経験がある。また、食べるための動作がスムーズでない場合、食欲を満たせずに食べる意欲をなくすことがある。
口腔や嚥下(飲み込み)に異常がない、胃腸系に問題がないだけではなく、食事の行動(摂食動作)が自立していることも大切である。
(2)食に関するアセスメント
①栄養状態のアセスメント
健康状態と食との関係をアセスメントするうえで、栄養状態を判定し、ライフスタイルから食事について考えることは重要である。日々の生活の中で食事から得られる栄養摂取と健康への影響を考えるための知識を学ぶ。
栄養状態を判定することで、食生活の状況の適切さを考えることができる。不適切な食生活は生活習慣病、がん、肥満、やせすぎ、食行動異常とのつながりがある。
□栄養状態の判定
身体と体重から算出する肥満度の判定には、日本肥満学会によるBMI(body mass index)の肥満度分類がある(図表1・肥満度分類)。BMIの計算式は次のとおりである。
栄養状態は外観を観察することで明らかになる。毛髪のつや、急な変化として抜け毛や白髪、眼の輝き、視線の力強さ、顔色はピンク色か、表情の生気の有無、皮膚であれば湿潤、弾力性の有無、爪は変色、つや、形の変化の有無である。
□食事摂取基準
厚生労働省の日本人の食事摂取基準が示されており、年齢、性別、身体活動レベルでの違いがわかる(図表2・日本人の食事摂取基準)。
□食事に関する分析
ライフスタイルを把握するうえで、食習慣、食の嗜好、摂取状況、生活リズムの視点から確認をする。食習慣は、欠食・間食・夜食の有無、外食等の回数、食事時間(摂取する時間帯、食事と食事の間隔)、食べる速さがある。食の嗜好としては、偏食、嗜好品、飲酒、喫煙、加工食品、調理法、味付けがある。摂取状態は口腔の状態、咀嚼の状態、嚥下機能がある。生活リズムには、運動、睡眠、一日の過ごし方がある。