実は昨日引っ越した当日に学ラン(学生服のこと)の怖そうな先輩? 学生ではなく、どうみてもどっかのおっちゃん風の数人が部屋に来られました。まずは援団(応援団)、少林寺拳法部そして日本拳法部が早速私達新入生(新入寮生)への勧誘でした。ちょっと世界が違うというか、絶対に入ってはいけないと本能が感じていました。おどおどしながらも失礼の無いようお断りをして何とか解放されたわけです。

そして今日の石田さん高木さんは普通のジーパンにトレーナーの恰好で勧誘ではありませんでした(実際には勧誘の作戦開始!)。一年先輩として食事でも行かないか? とのお誘いでした。村田君と目を合わせながら大丈夫そう! 行こうか! とお互いに確認しあい先輩について行きました。

歩いて五分くらいの駅前の華天園という中華屋さん(その当時、中華料理の繁盛店で今はない)。引っ越しやら初めての東京生活で腹はペコペコ。全員が四人テーブルの椅子に座ると同時に石田さんが「何でも好きなもの食べて良いよ!」(甘い言葉である)と。

初めてのお店に入ってしかも初めての先輩に何でも良いよ! と言われても……。そんな困った表情を見据えながら「中華丼が美味しいから中華丼にしようか?」

「ハイ!」(村田君と私の返事がキレイに重なった)

と迷いなく。迷いようがない! 中華丼にしようか? と言われて初めての先輩に対し私は天津丼、僕はレバニラ定食などと言えるわけがない! 注文した中華丼が来るまでに石田さん高木さんは私たちを交互に見ながら、取り留めない話題を含め、寮生活についていろいろと話をしていただきました。

退屈もせず和やかな時間を経て中華丼が四つ運ばれてきました。スープつき。美味しそう! 腹が減ってる時でもあり中華丼は美味しかった! 具沢山で我々学生にとっても量も充分でした。豚バラと白菜等の野菜の甘みがあんに溶け合いウズラの卵も一個でなく三個くらい乗っかってたように思います。東京に来て初めて美味しい食事を食べました。食べるのに夢中でお会計のことなどは考えていませんでした。

「そろそろ出ようか?」と言われ「すみませんお金は?」と聞くも「大丈夫! 行こうか!」と。村田くんと二人で「ごちそうさまでした!」(これまたキレイに重なった! 礼儀挨拶は大事!)と言うしかありませんでした。