第2章 火星人の遺跡発見
こんなことをにぎやかに話しながら、地上絵の先にある小高い丘の上に調査隊は降り立った。水平線のかなたまで広がる荒涼とした赤い砂漠、足元の丘に向かってセンスの扇のかなめの真上に当たる場所に、3人の調査隊員は探査機から降りて並び立った。
彼らは航空写真では見たことがあるが実物を目にしたのは初めてで、そのリアルさにソヨが「すごい本当に誰かがいたずらに作ったみたい」
アヤも「自然現象にしては精巧過ぎるし、こんなものが自然現象でできるなんて信じられないわ」彼らは、まだ自然現象でできたことにまったく疑いを感じていない。
ケンが「下に降りて詳しく調べてみよう。とにかく降りてみよう」と言い、3人は高揚する気持ちを抑えきれないまま、小走りに山肌を一気に駆け下りた。
ケンとソヨは鳥の絵の方向に、アヤは田んぼの方向に向かった。
そして麓におりて、石の並びを見たケンが驚きの声を上げた。胸は高鳴り心臓の鼓動が聞こえるように打つ。足は震え、立っていることもできないほどの驚きである。
「これは自然現象でできたものではないぞ、人工の手が加えられた加工石が整然と並んでいるよ。人工物だ。何かの遺跡だ。過去の火星人が作った物に違いない」
ソヨも突然の人工物に「本当だ、これは明らかに人工加工されているわ、エ……どういうことこれ」と、頭が真っ白になる。
ケンは慌てて無線のスイッチを入れる。「本部、本部大発見です。大変です大変です。自然ではありません。人工の遺跡です。遺跡です。間違いありません」
火星基地ではケンからの突然の無線で、何を言っているのかまったく理解できず、
「何が人工物なの何が遺跡なの……。落ち着いてきちんと言ってくれ、写真を送ってくれ」と言うが遺跡があまりにも大きく写真には入りきらない、かといって石が並んでいる写真では人工加工されているのかどうか判別が難しい。慌てふためくケンとソヨ、頭から人工物と信じていない基地の隊員、それでも次々と送られてくる映像と説明で、これは本当だと動揺が始まる。