今年の春はコロナが世界中に蔓延し始めているので、ここでも日に何度か空気を入れ替えるため廊下の窓を開け放ち換気をします。一瞬身が引き締まりますが、外気を胸一杯吸って生き返るような気がします。なんて気持ちがいいのかしら! 外の空気のなんと味わい深いこと! 今ここでは絶対に味わえない外気の中での、無性に懐かしいことを書いておきます。

早春の朝は、沈丁花の香り、梅の花の香り、スイートピー、水仙、ミモザ、フリージアなどの花々の混ざり合った香り、夜桜。雨の中の桜、若葉の香り、春雨の香り、春野菜の色と香り。シャンパンの香り。

「シャンパンの弾ける音に春惜しむ」夏は、朝のハ―ブ、ルッコラ、タイム、バジル、ミント、ローズマリー、月桂樹など、夏の木立の香り、月見草の朝の香り、百合の花の香り、葛の花の香り、雷雨の香り、野菜の色と香り、冷えた白ワインの香り。

秋は、明け方のバラの香り、夕方に香る金木犀の花、菊の花の香り、マツタケの香り、サンマを焼く香り、秋の果物の色と香り、夕暮れの色、春菊の香り、赤ワインの色と香り。

冬はクリスマスの樅ノ木の香り、炊き立てのサフラン・ライスの香り、焼き立てのスコーンの香り、入れたての紅茶の色と香り、門松の松の枝の香り、冷たい北風の色と香り、もし雪が降れば雪の色と香り。

今朝、友からのメールは「今朝は庭で草取りをしていたらクリスマス・ローズの花が咲いていました」「今朝は冬の匂いがしました」と報告してくれた介護員さん。自然の空気に思い切り包まれている友だち、羨ましい限りです。