エレベーター前のラッシュアワー
この施設で唯一の交通(移動)手段の話です。老人ホームに、ラッシュアワーがあるなんて想像できますか?
老人ホームでは、さぞかし時間がゆったり流れるだろうと誰でも思うのではないかしら?
何故なら一切の面倒な(routine)ルーチン(決まりきった仕事)がないし、 台所仕事、洗濯、掃除、買い物はしたくてもできないので、一日の時間割はいたって単純です。
朝起き身繕いをすませ、エレベーター前に集合、ここで待つ時間は5~20分、帰りも同じ位、それが1日3回で優に往復3時間はエレベーター前で待機しなければなりません。これって結構くたびれます。
「待たされる」という受け身の心理的苦痛と言えるかもしれません。待ちくたびれるころ、やっと介護員の方にエレベーターに乗せてもらい、一階の食堂に下りてゆき朝食を頂きます。
食後に、各自それぞれに処方された薬を飲み、またエレベーターに乗せてもらい部屋に戻ります。ここは3階建ての建物、各階にお年寄りたちは誘導してもらわなければなりません。
勝手に一人でエレベーターを使うことは禁止されているので、介護員の方にエレベーターに乗せてもらい部屋に戻り、テレビを見ても、本を読んでもいいし、昼食まで各自自分の部屋で過ごします。
また昼になるとエレベーターに乗せてもらい食堂で昼食をいただき、またエレベーターに乗せてもらい部屋に戻る。
午後は「若返りサロン」「カラオケ」「書道」「頭の体操」「生け花」などの催し物・活動(ここで毎月発行されているアクティビティカレンダーに掲載)に参加して各階のラウンジで、派遣講師の指導により、歌を歌ったり紙芝居を見たりと優雅なものです。