【前回の記事を読む】【童話】「オオカミに渡してね」母が赤ずきんに持たせた手紙
となりのオオカミと七ひきの子ヤギ たすけてあげる
むかし むかしの おはなしです。
あるところに、お母さんヤギと、七ひきの子ヤギが すんでいました。
今日は、お母さんヤギが お出かけの日。
七ひきの子ヤギは、おるすばんです。
「いいかい、お母さんが 帰ってくるまで、ぜったい ドアを あけては ダメよ。オオカミさんを、入れては ダメよ」
「わかったよ。オオカミさんは 入れないよ」
しばらくすると、オオカミさんがやってきて、ドアを トントンと たたきました。
そして、ガラガラ声で言いました。
「ただいま、お母さんですよ。ドアを あけておくれ」
子ヤギたちは、言いました。
「ちがうよ、お母さんは、もっと きれいな声だよ。おまえは オオカミさんだろ」
そこで、オオカミさんは、のどのくすりを のんで、きれいな声に なりました。
「ただいま、お母さんですよ。ドアを あけておくれ」
子ヤギたちは、こんどは ほんとのお母さんかなと、まどの外を のぞきました。
すると、まっ黒な足が 見えました。
「ちがうよ、お母さんの足は まっ白だよ。おまえは、オオカミさんだろ」
そこで、オオカミさんは、こむぎこをふりかけて、足を まっ白にしました。
「ただいま、お母さんですよ。ドアを あけておくれ」
子ヤギたちは、こんどは ほんとのお母さんだと思い、ドアを あけてしまいました。
そこには、オオカミさんが立っていました。
「ウワォー、食べちゃうぞー」
子ヤギたちは、みんなおどろいて、すぐにかくれました。
一ばん目は つくえの下に、
二ばん目は ベッドの下に、
三ばん目は だんろの中に、
四ばん目は だいどころに、
五ばん目は 本だなの上に、
六ばん目は おふろばに、
七ばん目は はしら時計の中に、かくれました。
「ウワォー、どこだ どこだ、どこに かくれたー。見つけたぞー 見つけたぞー」
オオカミさんは、つくえの下も、ベッドの下も、だんろの中も、だいどころも、本だなの上も、おふろばも、あっというまに 見つけてしまいました。
けれど、七ばん目の 体の小さな子ヤギだけは、はしら時計の中にいて 見つかりませんでした。