【前回の記事を読む】【童話】「おなかすいたなあ」雪の中、一人マッチを売る少女……
となりの赤ずきんちゃん お母さんとやくそく
むかしむかしのおはなしです。あるところに、いつも、赤いずきんをかぶっている、かわいい女の子がいました。女の子こは、“赤ずきんちゃん”とよばれていました。ある日、お母さんが、赤ずきんちゃんに言いました。
「おばあちゃんに、おかしをとどけておくれ。より道をしては、いけませんよ。もし、わるいオオカミさんに出会ったら、このお手紙をわたしてね」
「わかったわ」
赤ずきんちゃんは、おばあちゃんの家に出かけました。おばあちゃんは森のおくにすんでいます。赤ずきんちゃんが、森の入り口につくと、オオカミさんが、出てきて言いました。
「赤ずきんちゃん、おばあちゃんに花をつんでいったらよろこぶよ」
「それはすてきね。お花をつんでいくわ」
森もりには、たくさんの花はながさいていました。赤ずきんちゃんは、お花をつむために、より道をしてしまいました。赤ずきんちゃんがより道をしているあいだに、オオカミさんは、おばあちゃんの家に先まわりして、おばあちゃんをつかまえてしまいました。
「おばあちゃんを食べるのは、あとにしよう。もうすぐ、赤ずきんちゃんがやってくるぞ」
オオカミさんは、おばあちゃんのふりをして、ベッドに入ってまっていました。
「おばあちゃん、おかしをもってきたわ。きれいな花も、つんできたのよ」
赤ずきんちゃんが、おばあちゃんの家につくと、なんだか、おばあちゃんのようすがいつもとちがいます。赤ずきんちゃんは、ふしぎに思って聞きました。
「おばあちゃんのお耳、どうしてそんなに大きいの?」
おばあちゃんは、答えました。
「おまえの声を、聞くためさ」
「おばあちゃんのおめめ、どうしてそんなに大きいの?」
「おまえのかわいい顔を、見みるためさ」
「おばあちゃんのお口、どうしてそんなに大きいの?」
「それはね……、おまえを、食べるためさ!」
オオカミさんは、大きな口をあけました。