となりのオオカミ少年 あなたをしんじるよ
むかしむかしのおはなしです。あるところに、おもしろいことが大すきな、ひつじかいの少年がすんでいました。
ぼくじょうぬしのおじさんにやとわれて、毎日、ひつじのばんをしています。
「毎日、ひつじを見みてるだけ。たいくつだな~」
少年がつぶやくと、おじさんが言いいました。
「見てるだけでも、だいじなしごと。しっかり、ひつじをまもっておくれ」
あるひ、ひつじかいの少しょうねん年は、
「なにかおもしろいことないかなー。そうだ」
といって、大きな声でさけびました。
「カエルが、コケコッコーって鳴いてるぞー」
村人たちがあつまってきて、少年のうそだとわかると、
「アッ、ハッ、ハー、そんなことあるわけないじゃないか」
みんなわらって、帰っていきました。
つぎの日、少年がさけびます。
「くじらが空をとんでるぞー」
村人たちはあつまってきて、
「アッ、ハッ、ハー、そんなことあるわけないじゃないか」
みんなわらって、帰っていきました。
そのつぎの日、少年は、
「なにかもっとおもしろいことないかなー。そうだ!」
といって、大きな声でさけびました。
「オオカミだ!オオカミが来たぞー!」
村人たちは、家からとびだしてきました。みんな手にぼうや石ころをもっています。
「オオカミはどこだ!」
みんなのあわてた顔を見て、少年はくすくすわらいました。
ぼくじょうぬしのおじさんが、言いいました。
「村のみんなが、こまっているよ。楽しいうそはいいけれど、わるいうそはかなしいよ」
つぎの日、少年は、
「おじさんにしかられたけど、ちょっとおもしろかったな。もういっかいやってみよう。オオカミだ! オオカミが来たぞ!」
村人たちは、またいっせいに家からとびだしてきました。
「オオカミはどこだ!」
「オオカミなんかいないよ」
うそだとわかると、
「もう、おまえの言うことなんかしんじないぞ」
村人たちは、みんなおこって帰っていきました。少年は、わるいことしたなと思いました。ぼくじょうぬしのおじさんが、言いいました。
「わるいうそはかなしいな。わたしは、おまえをしんじているよ」