つぎの日、少年は、もううそをつくのはやめようと、思っていました。
すると、こんどはほんとうに、少年の目の前に、オオカミがあらわれました。ぎん色いろのオオカミは、大きな口をあけて近づいてきます。少年は、こわくなってさけびました。
「オオカミだー!! オオカミが来たぞー!!」
ところが、村人たちは、家から出でてきません。
「オオカミなんて、またうそだろう」
村人たちは、きっと少年が、またうそを言いっていると思ったのです。少年は、あせをいっぱいかきながらさけびました。
「ほんとうだ、ほんとにオオカミが来たぞー!ぼくをしんじてー!」
すると、ぼくじょうぬしのおじさんだけは、かけつけてくれました。
「わたしは、おまえをしんじるよ」
見ると、オオカミはおそろしいうなり声をあげ、いまにもひつじにおそいかかりそうです。
「みんな出でてきてくれー! ほんとのオオカミだー!」
おじさんの声に、村人たちもかけつけました。みんなは、力をあわせて、オオカミをおいはらいました。少年は、おじさんに言いいました。
「おじさん、ぼくをしんじてくれてありがとう」
「おまえは、おもしろいいい子だよ。楽しいうそはだいかんげい。これからも、ひつじのばんをよろしくな。わたしは、おまえをしんじているよ」
それから少年は、みんながこまったりかなしんだりするうそはつかなくなりました。かわりに、おもしろいお話しをたくさん作って、みんなを楽しませてくれましたとさ。