美紀が岬の高台に出掛けた母の命日から二月ほどが経ち、志摩地方も梅雨の季節を迎え、雨のそぼ降る鬱陶しい日が続いていた。【関連記事】「出て行け=行かないで」では、数式が成立しない。その日は漁火の二階の部屋で雨音を聞きながら目が覚めた。「今日も雨か」と思いながら美紀は憂鬱な気分になった。雨の日は喫茶店やスナックの客足が伸びないのだ。観光客の来店などは雨に祟られここしばらく皆無に近い状態だった。「今日は…
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