一元(げん)和(な)元(一六一五)年の夏が終わった。「お方さま、まだ遠うござりすが、片倉(かたくら)勢が、若さまが、帰ってまいりましたぞ」「……ああ、ほんとうに。なんと美しい……」「勝ち戦というものは、何もかもが輝いて見えるものでござりすなあ」感極まって叫ぶ者がいる。かたわらに控える侍女のおこうがささやいた。「お方さま、若さまの馬印が見えまする」わたくしは心を揺さぶられ、胸がいっぱいになっていた…
小説
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