しかしリカルテは、『わたしは、アメリカとの戦争で降伏していない唯一の将軍です。わたしが母国に踏みとどまらなければ、この国の未来が失われます。最後の一人になるまでわたしはアメリカと戦います』とそれを断ります。1945年4月、山中の野営地の中で、アゲタ夫人が亡くなりました。リカルテは夫人の手を握り瞼にキスをしてから、静かに抱きしめて、『今度は人種差別のない時代に、奴隷から抜け出すために戦う必要のない…
[連載]哀瞳のレムリア
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小説『哀瞳のレムリア』【第6回】岩下 光由記
「わたしが知らないことばかりだわ……日本人として恥ずかしい」フィリピンの希望、日本~侍の活躍が、歴史を変えた~
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小説『哀瞳のレムリア』【第5回】岩下 光由記
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小説『哀瞳のレムリア』【第4回】岩下 光由記
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小説『哀瞳のレムリア』【第2回】岩下 光由記
潜った海や海辺の情景が折り重なるような不思議な夢をたびたび見るようになり…
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小説『哀瞳のレムリア』【新連載】岩下 光由記
神話のような名前を持つ後輩。その死は何故か私の心をざわめかせた