母が亡くなった翌日、男ヲオト大迹は一日中「神の天柱てんばしら」の崖の上に立ち続け、「雄島おしま」を見つめていた。喪屋もやで母振振媛ふりひめの殯もがりを務めあげ、身の回りの整理を済ませると、男大迹は坂井致福さかいのちふくを連れて三尾角折みおのつぬおり君の館に身を寄せることにした。致福は振媛が近江に嫁ぐときにも従い、男大迹が生まれてからはそのまま側に仕えている。角折では三国を離れるための準備を進めて…
[連載]継体大王異聞
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小説『継体大王異聞』【第9回】讃 紫雲
会うなり恐怖におののく堅夫…男大迹「顔を見せてすまなかった」
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小説『継体大王異聞』【第8回】讃 紫雲
後年「継体天皇」と諡される男大迹が「誰にも話せなかったこと」
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小説『継体大王異聞』【第7回】讃 紫雲
「震えるほどに信じがたい」神事を受けた男の身に起きた奇跡とは
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小説『継体大王異聞』【第6回】讃 紫雲
「周りとの亀裂は避けられない…」子どもを育てる地での母の不安
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小説『継体大王異聞』【第5回】讃 紫雲
「この子は、とてつもなく過酷な試練を背負って生きていく定めとともに産まれてきた」
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小説『継体大王異聞』【第4回】讃 紫雲
「太杜さま、持衰への罰はいかほどに?」しばし考えていたが…
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小説『継体大王異聞』【第3回】讃 紫雲
天候が急変!荒波で船は揺れ、馬が海に引き込まれるのを見て…
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小説『継体大王異聞』【第2回】讃 紫雲
【小説】「さあ船出だ」故国に向けて出航の時が来た
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小説『継体大王異聞』【新連載】讃 紫雲
【時代小説】次代の首長として期待される男が訪れた土地は…