民俗学の分野では、固有文字を持たない民族は、建国譚や英雄譚を歌謡や舞踊により代々伝えることが知られている。『記紀』においても歌謡が多く記載され、書物全体が抒情的である。特に数字の少なさに気づく。中国の史書は叙事的で、例えば戦の記録では双方の人数を記述しているが、『記紀』ではほとんどが戦乱の原因と経過の記述である。つまり古代日本人の歴史情報は記録として残されておらず、歌謡や語りに載せられた記憶に依…
[連載]いにしえの散歩道
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歴史・地理『いにしえの散歩道』【第4回】大津 荒丸
【日本史】史実が書かれていない第2~9代天皇、「欠史八代」。天皇は実在したのか、創作なのか? 否、別の可能性が…
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歴史・地理『いにしえの散歩道』【第3回】大津 荒丸
文字を創り、文字に神秘性を感じていた中華民と「言霊(ことだま)」という表現にあるように言葉に霊力を感じていた古代の日本人
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歴史・地理『いにしえの散歩道』【第2回】大津 荒丸
歴史書の多くは勝者の記録。歴史書において辺境の倭国は客観的な記載が期待できる可能性が高い
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歴史・地理『いにしえの散歩道』【新連載】大津 荒丸
文献に記されなかった人々の声は誰が聞く?…歴史学者がいつのまにか作り出す定説には罠がある