俳句・短歌 短歌 2022.04.25 短歌集「茜色の空」より三首 茜色の空 【第3回】 有波 次郎長 人間の美しさとみにくさ、コロナ禍での生活、忘れられないあの女性……。 ささやかな日常を詠った誠意ある作品、幅広く物事を取り上げ、「今」を鮮烈に詠いあげた短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 戦争に行くには行くがそれはただ生きるが為の窮余の一策 人間の惨たらしさを競う月・八月よもう永久(とわ)に消えゆけ 目を覆うばかりの蛮行繰り返すこれが人間? 本当に人間?
エッセイ 『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 風間 恵子 「そんなプリンなんか作ってないで、早くメシのしたくしろ!」台所で一挙手一投足に怒り狂う義父。言葉の暴力が鉛となって心臓を突き抜けた。 ある晩のことだった。三人で、夕食のしたくをしていた。この三人と言うのは、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)・嫁すなわち、私の事である。台所は女の神聖な場所と考えられているのではないか。しかし、この家では、舅が当たり前のように立つことが多い。自分が調理したものは自慢をするが、人の作った料理は決して、美味しいとは言わない。逆に貶す事に喜びを感じるタイプである。野菜の切り方から、味つけまでを一つ一つ指摘…
小説 『ハロー、わたし!』 【第6回】 澤 幸希 有紀ちゃんが亡くなったなんて…。僕はあまりのことに頭の芯が痺れて冷たくなり、胸の中が一気に空っぽになった 恭ちゃんをメールで誘ってみると、秒速でOKが返ってきた。オーナーの健太さんにも連絡してみると、こちらも二つ返事だった。「おう、二人とも生きてたか! 馬たちに忘れられないうちにおいでよ。クリスマスに来るって? いいとも。でかいケーキを用意しとくよ」その年のクリスマスは珍しく雪が降り、仲馬倶楽部も白一色だった。僕は八百屋で一番立派なニンジンをいっぱいに盛り付けてリボンをかけてもらった籠を持ち、朝早く…