ところで、ラグビー発祥の故郷は、英国紅茶文化の源でもあるイングランドだ。何か結びつくことがあるのだろうか?
1823年、イングランド北西部にある名門パブリックスクール・ラグビー校でウィリアム・ウェブ・エリス少年がフットボールの試合中に、ボールを拾い上げ持ったままゴールに向かって走って行った。周りは唖然としたらしい。
これが、ラグビーの名前の由来であることは、ラグビーファンならずとも知るところである。1840年には、このゴール認定である「ランニングイン」が確立。
日本ラグビーフットボール協会「競技規則」によれば、ラグビーの他のスポーツと異なる競技方法として、
①手も足も両方使うことができる。
②プレーヤーはボールを持って自由に走ることができる。
③防御方法にも、安全性を損なわない限り、制約がない。
④ゴールラインを越えてボールを持ち込むことによって得点となる。
⑤ボールは後方にいるプレーヤーにのみパスをすることができる。
(他に、たくさんのルールと原則があるが、省略)
「ラグビーは、紳士がやる野蛮なスポーツ」、対する「サッカーは、野蛮人が……」、おっと相当な英国流の階級的偏見がありそうな表現なのでこれ以上書くまい。
ボールを手に抱えて走ったエリス少年の名前を戴いてその名称とした優勝杯が、その名もウェブ・エリスカップである。このエリスカップは、優勝経験チームの人間以外は、決して素手で触れてはいけないという大変に崇高なものだ。
今回世界の頂点に立ちカップを手にしたのは、日本が敗れた南アフリカで12年ぶり3度目の優勝であった。試合前の予想で絶対の優勝候補と目されていたのは、世界ランク1位で名将エディ・ジョーンズHC率いるイングランド。戦いぶりは、南アのフォワード陣が圧倒して、イングランドを終始押しまくり、世界一の強さを見せつけ、32対12。
南アフリカチームはフィジカルに優れた素晴らしい選手ばかりだ。小粒ながら大男に果敢にタックルを食らわし倒してしまう強靭な金髪ロン毛でスクラムハーフのF・デクラークは、常にボールがあるポジションにいて、的確な球出しをする。満を持して登場したC・コルビは、俊足ダッシュと超華麗なステップで敵をかわし、最後のダメ押しトライを挙げた。
「僕たちの国には、いろいろな問題がある。いろいろなバックグラウンドから選手が集まり、一つの目標に向かって一丸となった。
そして、自分のためにプレーしたのではない、国のために戦った。いろいろな人たち、ホームレスの人たちも応援してくれた。何かを成し遂げたいと思った。一つになれるということを見せたかった」
黒人選手初のキャプテンであるシヤ・コリシ選手は、優勝インタビューに答えて、続けていった。
「Thank you so much. People of Japan. People come from England……
アリガトウゴザイマス」