中等教育におけるルーブリック

ところが、中学校および高等学校の現場でルーブリックを用いた授業計画の策定・実践をする際は事情が異なる。各教科における学習目標・領域・単元などは『学習指導要領』(以下、『要領』と略記)で定められており、実際の授業で使用する教科書や資料なども指定されている。

【図表1】シラバスサンプル

それらの前提を踏まえて、図表1右側のように第1段階では教科全体を貫く包括的な「本質的な問い」の設定を行う。次いで第2段階では、領域・単元ごとの「本質的な問い」の設定を行う(注1)。ここまでは『要領』の内容に沿った形で設定すればいいので、それほど難しい作業ではないだろう。

ところが、第2段階の内容を具体的な教育実践に落とし込もうとすると途端に困難に直面する。いくらもっともらしい「問い」を発したとしても、従来の教育実践のままだとそれが実質的な意味を持たなくなるからである。つまり、ここまでで設定した「問い」を具現化するには、ALに代表される、これまでにない教育手法を必然的に導入しなければならないことを意味する。

とはいえ、その成果は定期試験(ここにはノート提出に代表されるいわゆる平常点も含まれよう)のみで判断できるものではないし、これまでにない複眼的視野で生徒を評価する必要が出てくる。それが、第3段階にあたる「本質的な問い」を具現化するパフォーマンス課題の設定である。

この設定によって従前の定期試験などとは異なる評価軸が明らかにできるから、それを集約する形で第4段階の長期ルーブリックの作成に繋がる。