こうしたことが指摘される背景には、次のような事情があった。OECD(経済協力開発機構)が加盟国の生徒・児童対象に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」において、日本の生徒・児童の成績が芳しくなかったことが衝撃的に受け止められた(専門家の間ではPISAショックと言われる)。
当時の中等(および初頭)教育ではゆとり教育が実践されており、PISAの結果は文科省をして、脱ゆとりに向けて舵を切らしめることになった。その方向とは、各教科における学力を取り戻すとともに、生徒・児童の論理力や思考力を同時に鍛えることである(注2)。
この結果、文科省は最新の『要領』において学力を、(1)知識・技能、(2)思考力・判断力・表現力等、(3)人間性、の3つで構成(いわゆる学力の3要素)されると定義することになった。そして、これらを実現する教育手法として、ALの別表現と言われる主体的・対話的で深い学びの義務化という流れになっている。