俳句・短歌 四季 2022.02.10 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第92回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 種々の木が各自の故郷こきょう物語る 家恋しさに挫くじけないよう 枯れ草の下したに若草萌え出して 塗り変えて行く緑目映まばゆい 晴れ間射し気温は夏日に上がるけど 風は清涼薄雲の保護
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』 【第7回】 武 さき 「しばらくは男性と距離を置きたかったのに」彼は率直に話す方だ。面と向かって言われるとドギマギしてしまう... 火曜日、今日は絵画教室。十月下旬になって、少し寒い。薄手のコートを着て出かけた。教室について準備をしていたら、偶然に会う男性が、「昨日は本当にびっくりしましたね」「私もびっくりしました。うふふふ」笑ってしまった、ついうっかり。「今日教室の帰りお茶でもしませんか」誘われた。悪そうな人でもなさそうだし。「いいですよ」「じゃ、後で」不思議と嫌な感じではない。教室が終わって近くのカフェに着いたら男性が先…