ベルリンの再生
魅力的なベルリンの赤富士
ポツダム広場は、戦前も繁華街だったが、ベルリン攻防戦で焼け野原になり、十一年前に見た時も全くの草茫々の荒れ地になっていた。その後再開発が進んで、今や西欧の誇りとなるモダンな未来都市に再生したと聞いていた。来てみると、まだ完成したとはいえないが、ベルリンフィルハーモニーや新ナショナルギャラリーに隣接する西区域は、ほぼできている。そのまた北半分を制している高層広域の建物が三年前に完成した日本資本導入の「ソニー・センター」である。
音楽家出身だったソニーの大賀典雄氏とのからみを想像させるこの巨大な建物は、前日のクーダム作品同様、ヘルムート・ヤーンの設計になり、敷地面積約二万六五〇〇平方メートル、延べ床面積一三万二五〇〇平方メートルを占める。ソニーのオフィス以外にもIMAX3D、店舗、レストラン、カフェで構成される。
フォーラムと呼ばれる四〇〇〇平方メートルの楕円形大アリーナ空間は魅力的だ。高さ六九メートルの屋根は、リング・ビームとワイヤー・ケーブルからなるテント構造。偏心した中心部が隆起する立面は、遠望すると葛飾北斎の「赤富士」そっくり。ベルリンの中心に日本があるのは痛快である。この光景を見たことは今度の旅の最大収穫の一つである。なお愛知万博の「夢みる山」は赤富士をモデルにしているので、これもそっくりである。
フォーラムで家内とコーヒーを飲んで一服してから、ソニー南部の二〇世紀が最後に生んだ廃墟復興の世紀末都市「ダイムラー・シティ」に分け入る。ここはコンペで募集した作品ばかり詰め込んであるが、何らかの統一感があり、また国際的な超一流設計家のものなので絢爛豪華そのものである。
まずレンゾ・ピアノ設計の二層の「アーケード」の二階のパフェ専門店で昼食とした。一人五ユーロで安価である。隣の大柄な人は倍くらいのパフェに食らいついていて感心したり、賑やかな雰囲気だ。