本場の方が健全であると言われる。
ミュンヘンの本場はノンアルコール
ホーエンシュバンガウはドイツの南端である。バスで出発してガルミッシュ・パルテンキルヘンを経て、森に覆われたアウトバーンを北に走ること一〇〇キロでバイエルンの都ミュンヘンに着いた。
十一年前に訪れた懐かしい街である。この日のホテルはフォー・ポインツ・ミュンヘン・セントラルである。夕食は有名なホーフブロイハウスに決めて、タクシー(往復一二ユーロ)で午後六時前という早い時間にかけつけた。ここは席がないとまずありつけないからである。前回の建物より壁造りに改装され木組みはなくなった。楽隊の陽気さは相変わらずだ。
料理はメニューでは判らないのでお任せにしたら、ポテト、ソーセージ、目玉焼きというドイツではありふれた献立。ここは本来ビアホールなので一杯飲んだ。支払いは計四五ユーロだった。ツアーのNさんのことが少し心配だったが間もなくやんだ。ところで最近、ドイツ人の飲むビールは半数以上がノンアルだそうで、本場の方が健全であると言われる。
第四日(八月十三日)。ツアーの人たちはこの日で一旦解散し、欧州好みの都市へそれぞれ向かう。
Nさんはロンドンへ行き、われわれ夫婦はベルリンへ飛ぶ。ミュンヘン空港は市街地から三〇キロほど北にある。現地の田中さんの同行で乗用車で走った。途中左側に巨大なスタジアムが建設中なのが見えた。サッカー場ですよと田中さんが説明した。二年後の二〇〇六年ドイツでワールドカップが催されるのである。前日までのユーロ・バスの運転手は、あの有名なGKカーンそっくりのドイツ顔で、思い出し笑いをしてしまう。そしてサッカー場建設の工程の速さに、この国への信頼感が増してくる。
総ガラス張りの近代的なミュンヘン空港は過去何回来たか忘れる程多く、内部も判り易くて親しみが持てる。午前十時発のルフトンハンザ機に乗り、つつがなく十一時五分にベルリン・テーゲル空港へ着いた。
迎えに来ていたのは現地係員のH・カトリーヌ嬢。スマートだが四十歳くらいか。勿論日本語ばりばりで要点を心得て、頭が良くて親切。