広い通りと宏大な建物群
翌朝から市内見物に出かけた。
城内には幾つかの有名な教会があるが、ザンクトミヒャエル教会、テアティナー教会、アザム教会が古いものである。規模は小さいが私はアザム教会が良かった。アールヌーボー的というか、ガウディ風の感じもする賑やかな金や赤の色彩で、グロテスクな造形にも感じられるが、日がさしこむと実に綺麗であった。
十一時ぴったりに新市庁舎向かいの六階の喫茶店に着き、欧州最大の仕掛け時計の人形が動き出すのを見た。人形の舞台は上下二段に分けられていて、上下がそれぞれ踊りながら一回転してから、最上段の金のニワトリがコケコッコーと鳴いて終わる。その間十五分である。市庁舎前のマリエンプラッツは歩行者天国なので、色々のパフォーマンスも行われて賑やかで、しかも退屈しない。
北から城外に出ると、オデオン広場から先は新市街で、名古屋も顔負けの広い通りと宏大な建物群があり、何より敷地ののびやかなことは、これこそ大陸的という感がする。ミュンヘンの美術館を鑑賞。
ここはアルテとノイエ、モダンの三つのピナコテークから成っている。ルーブルなどに比べると大まかだが、ゆったりした堅固な美術館である。良かったのはアルトドルファーの「アレクサンドロス大王の戦い」の大変な克明さ、クノップフの「私は私自身に扉を閉ざす」の神秘さなど。ゴッホの「ひまわり」もあったが、かれはこの題材を何枚描いているのか、どこの美術館にもある。
ピナコテークはあまり広くて少々疲れた。市電とUバーンを乗り継いで帰り、夕食「ハッカーハウス」でバイエルン名物のアラカルトをとったが、なかなか美味しかった。二人で五五マルク支払った。