俳句・短歌 四季 2021.12.09 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第83回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 菖蒲あやめ咲き夢に膨らむ学生を 暖かな風優しく包む 日本でも見て来た事の幸福の 蝙蝠こうもりの舞う夕闇下 さがり宵闇よいやみに月と金星照らし合い 輝き冴さえる濃紺の空
エッセイ 『遠い夢の向こうのママ[人気連載ピックアップ]』 【最終回】 かおる 身体中、痣だらけのまま着たウエディングドレス。DV夫が腕につけた痕は、結婚式の写真にもはっきり写っていた。 【前回の記事を読む】DV被害に衝動ODで入院。脳細胞の一部が死滅したらしく、言い返す気力も、考える力も、言い訳する思考力も、どこにもなかった。翌日はとても綺麗な教会で結婚式だったが、私の全身は手のひらサイズの痣だらけだった。ドレスから出ていた腕の痣だけ、結婚式の写真にも写っていた。結婚式自体はスムーズに進み、無事に終わり、その後の旅行は特にひどい喧嘩はせず満喫できた。後から聞くと、新婚旅行直前に…
小説 『29歳、右折の週』 【最終回】 言田 みさこ 彼はいつも曖昧な態度ばかりで、一度も呼び出されたことなんてなかった。なのに今さら「話がある」だなんて… 【前回の記事を読む】「静かな雰囲気の中で、二人きり…」友人との約束のことをすっかり忘れ、昔想いを寄せていた彼の事で頭がいっぱいになり…着替えを済ませ、理緒子と連れ立ってそっと下へ降りていく。パニエの荷物をじかに床に下ろし、呼んだタクシーが来るのを待った。理緒子は無人のフロント前の椅子に座り、あさみはガラス窓からはすかいに道路をうかがった。そこへ、タタタタッ、と足音高く越前がやってきた。「帰るの?…