エッセイ 『あのころの世界』 【第3回】 えんどう としこ すぐに駆け寄ったが、間に合わなかった…後頭部から出血。病院では髪を剃った跡もないのに、医師は「縫合した」と言う。よく見ると…… 【前回の記事を読む】「止める間もなかった」…預けていた5歳の長男がテーブルに足をかけた瞬間、鋼鉄製の台座が倒れ、後頭部を直撃し……私は彼が足をテーブルにかける瞬間を目にして駆け寄ったが間に合わなかった。息を切らして彼を追いかけ、追いついたスタッフは青ざめてブルブル手が震えていた。声も出なかった。私は震えているスタッフに、「どうして部屋から出したの!!」と怒鳴ったが、返事など聞いていられなかった。…
小説 『紅の記憶 武烈と呼ばれた天皇』 【第8回】 青葉 こと 「もう、義務は果たした」…父に捨て置かれた母は、皇子の顔を見るたび涙を流してしまう…その理由を知った彼はまだ10歳で…… 【前回の記事を読む】父を殺した男の娘と結婚させられた…「血を残すためだ」と言われたが、その後の天皇家で生まれてきた子どもはすべて女で……「うん。俺が産まれると、父上は母上の所には通ってこられなくなってしまった。『もう、義務は果たした』って、父上はおっしゃったそうだ。母上は、いつも一人だった。でも、俺が母上に会いにゆくと、母上は泣くのだ。俺は、父上にもお祖父様にも似ているのだそうだ。母上は俺を見る…