エッセイ 『あのころの世界』 【第3回】 えんどう としこ すぐに駆け寄ったが、間に合わなかった…後頭部から出血。病院では髪を剃った跡もないのに、医師は「縫合した」と言う。よく見ると…… 【前回の記事を読む】「止める間もなかった」…預けていた5歳の長男がテーブルに足をかけた瞬間、鋼鉄製の台座が倒れ、後頭部を直撃し……私は彼が足をテーブルにかける瞬間を目にして駆け寄ったが間に合わなかった。息を切らして彼を追いかけ、追いついたスタッフは青ざめてブルブル手が震えていた。声も出なかった。私は震えているスタッフに、「どうして部屋から出したの!!」と怒鳴ったが、返事など聞いていられなかった。…
小説 『本音と建前の王国』 【第8回】 西田 嘉之 「なぜこんな辛い山に」厳しい風雪のなかでも自然が語りかける「生きろ!それも楽しんでいきいきと!」というメッセージ 【前回の記事を読む】18歳の青年が突如として姿を消した。村中の人で探し回ったが…実は、登山家に憧れた彼は1人で塩見岳へ。吹雪く山で彼は…山に取りつかれてしまったのかと思って、あるとき聞いてみた。山は楽しいか? ……「“ひなびた不思議な旋律”が、何かわからないからそれを聞きたい」。 「雪山でしか聞けない」……と春樹がいった。おじさんにもわからないが、村の伝説の登山家がいったことを、どこかで見聞きし…