エッセイ 『プレナイト[人気連載ピックアップ]』 【第6回】 天乃 神龕 集中治療室には、変わり果てた夫の姿があった。声をかける私に、肩を揺らして笑ってみせた夫。その笑顔に胸が張り裂けそうになり… 【前回記事を読む】仕事から帰らない夫。携帯には、知らない番号からの何十件もの通知…胸騒ぎがする中折り返すと、その相手はまさかの…ともに永遠に道中では、ドクターヘリの搬送の時点でなんとなくもう元の体には戻らないことくらいは理解していた。低酸素血症なのか高次脳機能障害なのか……。人工心肺でも付けているのか、もしくは蘇生中なのか。まだ小学2年の長男と年長の次男になんと説明したらいいんだろうか。まだ歩け…
小説 『峰坂物語』 【最終回】 橋井 尚 自分が採用された「裏事情」を、内定後に聞かされた。それは、「運も実力のうち」のような理由で… 【前回の記事を読む】カリフォルニア大学で出会った、魔法が使えそうな学生——彼は、「かけそば」に「ケチャップ」をたっぷりかけていた。峰坂は北日本の垂水県に位置し、日本海に面している。東京から新幹線で二時間弱、人口十七万人の地方都市だ。近隣を川幅豊かに流れる萩野川は、古くから水運が盛んだった。峰坂はそれを利して流域から船荷を集積し、海運の要衝として栄えた。江戸期以降は、北前船で紅花など北方の特産品を…