今回の鳩殺しの犯人は…?そして大村の目的が判明する

「以前に聞いたのですが、制服嫌い、という人達がいるそうで。特に警察官の制服に反応する。警備員の方の制服は警察官のそれと、よく似ていますね」

そう言うことならば、私が会社の誰かと交代しても、彼等の嫌がらせは終らないだろう。

会社に報告して警備士の交代をしてもらっても、その警備士がやられる。

我慢して十日間勤め上げればよいのだ。

「大村氏のことは前にお話ししましたね」

小笠原老人が言った。

「はい。何か母親の面倒をみて、それに時間をとられて勤めを辞めざるを得なかったとか」

「母親が亡くなって一人ぼっちになって、周囲が皆、憎悪の対象になってしまったのでしょう。より狷介な性格になったようです」

「大村氏のお年は?」

「確か六十五才だと思います。年金が貰えると、誰かれなく喋っていた頃があったと聞いたことがあります」

「年金ですか」

私も六十五才から支給を受けた。

国民年金だけなので大した金額ではない。

そこから介護保険が天引きされ、更に今年七十才になったので後期高齢者の保険金も天引きになる。

「考えてみれば大村氏とは妙な縁です。お互いに顔は知っている。私の病気のことを彼は知っているし、彼の母親のことを私は知っている」

大村にチャンスはあったのだ。

小笠原老人のような人物と親交を持ち、深めていけば、もっと違った歩み方もできたろう。