風がすっかり冷たくなってきた。荷物が増えたのでリュックサックを背負い、中華粥の紙袋の小笠原老人の分を前籠に入れ、自分の分は左手に下げ、片手運転でマンションを目指した。マンションの入口の空いている場所に自転車を駐め、階段で三階へ行った。小笠原老人の部屋のベルを押す。「お待ち下さい」とインターフォンから声がして、ドアが開いた。「いらっしゃい」小笠原老人は濃紺のタートルネックのセーターの上から、明る…
[連載]鳩殺し
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小説『鳩殺し』【第12回】野口 顕
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小説『鳩殺し』【第11回】野口 顕
「何という変わりようだ」警備士には見せない、女史の裏の顔
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小説『鳩殺し』【第10回】野口 顕
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小説『鳩殺し』【第9回】野口 顕
犯人はカラスの可能性大…「鳩殺し」の犯人は実在するのか
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小説『鳩殺し』【第8回】野口 顕
事件直後、突然現れた二人組の老婆…いったい何者なのか
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小説『鳩殺し』【第7回】野口 顕
公園に鳩の死骸が…警備開始から五日目、事件は起こった
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小説『鳩殺し』【第6回】野口 顕
将来必ず繁盛する店になる…若い女性が切り盛りする中華料理店
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小説『鳩殺し』【第5回】野口 顕
【小説】鳩を殺して並べた「ミステリー・サークル」一体なぜ…
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『鳩殺し』【第4回】野口 顕
【小説】なぜ、初対面の私に憎悪をぶつけてくるのだろうか?
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『鳩殺し』【第3回】野口 顕
【小説】任務初日のガードマンが休憩から戻ってくると…
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『鳩殺し』【第2回】野口 顕
「鳩の死骸を使って、ミステリー・サークルがつくられていた」
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小説『鳩殺し』【新連載】野口 顕
次の仕事は「大きな公園の警備」人手が足りないと訴えるも…