俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.12.30 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第12回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 寝たきりで八十路やそじをまえに懲りもなく 十とおはサバ読む乙女の心 数々の病のはてにガン宣告 闘士の母が選ぶ緩和ケア 四ヶ月待って希望の病院へ 窓の外には落ち葉散る庭
小説 『魂業石』 【新連載】 内海 七綺 沼のような目でこちらを覗くおじさん…通り過ぎようとしたら、ランドセルにかけた給食袋を引っ張られ、後ろから口を塞がれた。 茜色の気配が透明な青を少しずつ蝕む帰り道だった。背の高いブロック塀に囲まれた脇道の暗く湿った闇から、男がじっとこちらを覗いている。瞬き一つしない、暗い沼のような目。変なおじさんだ、と雪子は思った。姦(かしま)しく笑っている亜弓(あゆみ)たちは男にまったく気づいていない。そのまま一緒に通り過ぎようとしたら、ランドセルにかけた給食袋をつかんで引っ張られ、後ろから口を塞がれた。叫ぶ暇もなかった。亜弓た…
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』 【第13回】 松村 勝正 終わった後、お隣にいたご婦人が声をかけてくれた。年齢も話も合いそうだが、一つだけひっかかった言葉があって… 【前回の記事を読む】明日から始まるフィットネス通い…この季節なら長袖か、いや室内で運動するから半袖? 遠足に行くみたいにそわそわしながら…生徒さん達もつられて「おはようございます」と返すと同時に軽快な音楽が流れた。インストラクターは二十代後半のピチピチギャル風で髪の毛を後ろにポニーテールに結んでいた。装いは胸元が大きく開いたランニングシャツ風で、多分専門用語で***と言うのだろうと思いながらも言…