俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.12.30 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第12回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 寝たきりで八十路やそじをまえに懲りもなく 十とおはサバ読む乙女の心 数々の病のはてにガン宣告 闘士の母が選ぶ緩和ケア 四ヶ月待って希望の病院へ 窓の外には落ち葉散る庭
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第9回】 水木 三甫 硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた力は抜け… 【前回の記事を読む】「好きな店でいいよ」と絶対に言わない。行く店は決めてくれるし、選ぶ店のセンスもいい。浮き彫りになる、夫の物足りなさ。高校を卒業すると、希代美はすぐに故郷を捨てた。都内の小さな問屋にどうにか事務職を得た。希代美は一生懸命働いた。会社とアパートを行き来するだけの生活。とにかくお金を貯めたかった。一人で生きていくためにはお金を貯めなければいけないという強迫観念があった。預金通帳の残…
小説 『みわがしろ』 【第2回】 長石 潔 今回の藩主への謁見により雄之助は家老である岡本安尊の娘婿として認められ、中小姓書役見習いとして出仕することになった 【前回の記事を読む】物語は九州にある美しい城の伝承の謎に迫る若い侍が真相を知る語り部との出逢いから始まる今年四十四の安尊(やすたか)が白髪の交じる頭を上げ、よく晴れた空に目をやりながら、ほっと安堵の息を吐(つ)いた。家老の職にあり城中諸事に精通しているとは言え、自家に関わる重要な謁見が事なく済んで人心地ついたのである。一息つくと安尊が城内を案内し始めた。足早に廊下を歩く安尊(やすたか)の後を雄之…