社会と関わるのは、ナルコレプシーを抱えた私【社会に出てからの向き合い方に変化】

就職活動の厳しさ

理学療法士として働く決意をした私ですが、当然就職活動が待ち構えています。

私の場合、医療職ということもあり就職活動では比較的スムーズに内定をいただくことができました。しかし、一般的な就職活動だったらそう上手くいくことはなかったでしょう。

少し就職活動の厳しさについてお話しさせていただきます。

ナルコレプシーを抱えた方々が、就職活動の際に一番悩む問題として、病気を事前に伝えるかどうかです。本書の冒頭でもお伝えしたように、ナルコレプシーの症状は突然眠ってしまうことです。

このことを就職先に素直に伝えたところで、受け取られる印象は決して良いものではありません。病気であるということを伝えると「ご縁がありませんでした」といった返事が来るのは珍しくありません。

ここでの問題は大きく二つあります。

一つはナルコレプシーという病気が「与える印象」と「認知度の低さ」です。

居眠りするということが、お客様や一緒に働くスタッフに対して与える印象や影響を考えると、健康な人を採用しようと考えるのは無理もありません。

また、認知度が低いということもあり、誤った解釈を受けがちです。

よく言われるのは「薬を飲んでいるのになんで寝るんだ」「薬を飲んでいるのに配慮が必要なのか」といった言葉です。

診断がついている方の多くは、投薬でコントロールをしている場合がほとんどかと思いますが、投薬によって決して眠らなくなるわけではありません。

もちろん投薬だけで眠らなくなる方もいますが、突発的な睡眠発作が抑えられるという解釈の方が正しいかもしれません。

多くの方は病気をコントロールするための生活の工夫は必須とも言えるでしょう。そのため企業側にも、コントロールするための協力をお願いする必要が出てきます。

もう一つの問題は、障害者手帳を取得できないということにあります。

企業には障害者雇用の枠がありますが、ナルコレプシーだけでは障害者手帳を取得することができないため、障害者雇用という選択肢が選べません。

後ほどお話しする転職の際、私も似たような経験をしました。最終面接を終え、採用の報告をいただきましたが、障害者手帳の発行が困難だと分かった途端、採用は取り消しとなりました。おそらく、企業側は障害者雇用を前提に考えていたのでしょう。

これらのことから、企業側の配慮・協力が足りたいために、十分なパフォーマンスを発揮できる人は多くいるにもかかわらず、就職活動で苦労するという話はよく耳にします。

また、就職活動の際、病気を伝えるか伝えないかという問題は、当事者の方からも多く寄せられます。