ラクじゃない
先週、初めて画家のモデルを務め、今日は初めて裸体モデルを務めた。帰り道、カミーユは石畳の道をぼんやり歩いていた。「モデルの仕事はラクなもんじゃありません」。モネの言葉が蘇ってこだました。
結局、わずかな休憩を二度挟んだだけで、ほとんど二時間のあいだ同じポーズをとり続けた。じっと同じ格好をしているのが大変だということは、すでに先週経験していた。でも……。「ラクなもんじゃありません」。
その通りだ。ずっと同じ姿勢でいると、体のどこかが痺れてくる。ほんの少し位置をずらして痺れを和らげようとするが、姿勢が崩れることが心配でほとんど動けない。あまり動かせばムッシュー・モネが叫ぶのだ。「左手!」「右足!」。おまけに、裸体モデルの場合、小一時間もすれば手足の先はすっかり冷えてしまう。
それなのに、ソファに密着した臀部(でんぶ)にはじっとり汗をかいた。今も、腕や膝に痺れが残っている。肩もずっしりと重たい。部屋を暖めてくれてはいたけれど、体はすっかり冷え切っていた。それに、やはりあのまなざし─。何て怖ろしい。衣服を纏っていないだけに、その視線は体のあちこちに突き刺さるようだった。「画家のモデルを務める」とは、こういうことなのだ。