俳句・短歌 四季 2021.08.26 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第68回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 緑成す木々に漂い悲しげに 紋白蝶の白き妖精 今夕も夕立と成り萌え出てる 草木にとって命の湿り 柳萌え水辺に生える青葦が 萎える心に憩いを呉れた
小説 『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰 【カフカの名作を大阪弁で!?】「グレゴール!まだ家におったんかいな。 どないしてん?」名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ!? それに列車に追いついたところで社長の大目玉は避けられん。なんせ使用人が五時の列車に合わせて待っとってグレゴールの遅刻をとうにチクっとるわけやから。こいつは社長のお気に入りやった、性根も頭もないくせに。それか、病気や言うたらどないか? いやいやこれほどカッコ悪うて怪しい言いわけもなかろう、グレゴールは五年勤める間病気になったためしがない。社長が健康保険組合の医者を連れて来て、両親をグータラ息子のこ…
小説 『鼠たちのカクメイ』 【第5回】 横山 由貴男 天保の大飢饉…ノンキャリOB・大塩平八郎が、キャリア官僚に殴りかかる!「た、た、立場をわきまえよ!」「なんやとコラ」 この頃の平八郎はすでに与力職を養子に継がせて、大坂市内で陽明学の私塾を開いていた。いま惨状を横目に進む馬の轡をとっているのが、その養子・格之助である。「哀れや。ほんま胸が締め付けられるわ。のう、格之助」格之助は大きく頷く。しかし、感傷に浸っているわけにはいくまい。格之助は義理の親子とはいえ、もはや誰よりも絆の深い平八郎にこう言った。「父上。私は公務山積ですゆえ同席できませんが、くれぐれもお気をつ…