俳句・短歌 四季 2021.08.26 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第68回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 緑成す木々に漂い悲しげに 紋白蝶の白き妖精 今夕も夕立と成り萌え出てる 草木にとって命の湿り 柳萌え水辺に生える青葦が 萎える心に憩いを呉れた
エッセイ 『遠い夢の向こうのママ[人気連載ピックアップ]』 【最終回】 かおる 身体中、痣だらけのまま着たウエディングドレス。DV夫が腕につけた痕は、結婚式の写真にもはっきり写っていた。 【前回の記事を読む】DV被害に衝動ODで入院。脳細胞の一部が死滅したらしく、言い返す気力も、考える力も、言い訳する思考力も、どこにもなかった。翌日はとても綺麗な教会で結婚式だったが、私の全身は手のひらサイズの痣だらけだった。ドレスから出ていた腕の痣だけ、結婚式の写真にも写っていた。結婚式自体はスムーズに進み、無事に終わり、その後の旅行は特にひどい喧嘩はせず満喫できた。後から聞くと、新婚旅行直前に…
小説 『29歳、右折の週』 【第23回】 言田 みさこ 「静かな雰囲気の中で、二人きり…」友人との約束のことをすっかり忘れ、昔想いを寄せていた彼の事で頭がいっぱいになり… 【前回の記事を読む】他の男に乗り換えるか? 今の彼といれば「平凡な幸せ」は手に入るが、男としての魅力を感じないし…山川が包み紙を集めて捨てに行っている間、あさみは化粧直しのためにホールの出口へと歩き出した。越前が近寄ってくるのではないかと恐れたが、果たしておもむろにこちらへ歩いてきた。そして通りざまに耳元にこうささやいて行く。「このホテルの二つ隣のレストランで。時間は8時半」歩調を変えずに彼はそ…