大胆不敵  ツンデレ大好き

大胆不敵な人なんていない。誰も皆、大胆不敵な一面を持っているだけ。

優しいだけの人なんかいないし、優しさを少しも持たない人がいないのと同じ。

私が本を出すとは「なんて大胆不敵な人なんだろう」と人は言うだろう。でも私は臆病だ。

犬が怖くて子犬さえも触れない。ジェットコースターも無理で富士急ハイランドなんて一生行けない。車の運転も下道は飛ばすのに、高速道路は怖くて無理、乗れて東関道の成田まで。首都高は運転できないし助手席でさえ嫌だから寝てしまうことにしている。

お酒はしたたか飲むくせに背中が痛めば「膵臓癌だ」、蕁麻疹が出れば「肝機能がやられた」「もう思い残すことはない。明日よ来ないで」と言うわりに、人間ドックの結果を見るのが怖い。

もう少し大胆で不敵になりたいと心から思う。

家族を見ても似たり寄ったり。怖いもの知らずのように態度はでかいが、ちょっとの熱で、今にも死にそうに騒ぐ夫と息子。可愛い顔してママに悪態つく娘たち。図体はデカいのに子犬も子猫もタヌキも苦手。近所に「猪」出没のニュースには顔面蒼白だった。

家族だけでなく友達、お客さん、世間の人。周りを見回すとつくづく思う。人は見かけによらないものだ。見た目と中身にギャップがある。

この悪いパターンが「見掛け倒し」。そしてよく作用するのが「ギャップ萌え」。私はギャップ萌えに弱い。弱い犬ほど吠える。吠える犬は嚙みつかぬ。犬にもギャップがあるようだ。

羊頭(ようとう)()(にく)独活(うど)の大木。これは悪い方のパターン。

実るほど頭が下がる稲穂かな。偉い人ほど腰が低く謙虚ということ。人はこうでなければいけない。でもそうでない人が世の中多い。

女の人もギャップがある。可愛い子ぶりっ子はしたたか。ボーイッシュな子は中身がガーリー。いつも笑顔の人は一人の時は泣き虫。真面目そうな人が魔性の女。そこは女同士よくわかる。私もそんなものだから、女のギャップなんて見破るのは簡単だ。

男の人は想像によるところが大きい。大人の男に見えて中身は幼稚。威張っているのに小心者。冷たそうなのに涙もろい。鷹揚そうなのに細かい。金持ちそうなのにケチ。賢そうなのに軽薄。あんまり良い例が浮かばない。