「情報化のマネタイゼーション」 信用の仲介と数値仮想アバター
現代の情報化の特徴は、情報の領域間での不可逆性を避けるために情報化がカネ、即ち金融に帰結し、情報化の本質と同様に金融の信用も二重構造にすることだ。
そしてそれは、現代資本主義では、民主主義国も共産主義国もカネが世界の価値化、即ち経済成長がすべてと考えてしまうという、ある種のループ・スパイラル的な無限の自己矛盾に陥っている。
かつて技術が文字でしか表せなかった時代には、貨幣は交換価値の表象として相対的な価値を共通に表現する文字の道具でしかなかった。
にもかかわらず、二十一世紀にさらに高度化したICT技術は、ある事象を表すデータ情報をカネに置き換え、マネタイズできる手段に特化した機能として、金融の信用構造を二重化するためにしか用いられなくなったかのようだ。
英仏のワーテルローの戦いの勝者をいち早く英国ロンドンまで伝えて、知っている者と知らない者という情報の非対称性、つまり現実社会に存在する信用の二重構造を使って利益を上げたと言われるロイズ保険の話は、今は昔の物語である。
一瞬で世界中に伝播さるデジタル通信の世界では、ある一定の領域で信用の二重構造を人為的に作り出さなければ情報の非対称性は生まれない。つまり、利益はない。
従って、コミュニケーションの間に架空の人やアバターを入れる、いわゆるペーパーカンパニーや信託を通して行為者から離れたところで信用を仲介させること、あるいはより直截にフェイクニュースやなりすましという偽装などによって人為的に信用の二重構造を作り出す。
このように、0と1にしか分けられないというデジタルに対する公正性の信用が一般に流布された結果、逆に信用を二重構造にしなければ儲からないという帰結に囚われてしまった。
そのことにこそ、現代資本主義がICT技術の飛躍的な発展によって国家としてのセキュリティを求めれば、そしてその本質としての金儲け、計画した経済成長を成し遂げようとすれば、囚われの国家資本主義に陥ってしまう道筋を敷いたとも言える。