4.自分からの要望を伝える

計画のすり合わせを含め、現オーナー様に、あと半年くらいは引き続き経営に携わっていただくことが可能かどうかの質問もさせていただきました。

こちらに関しては「今すぐに返事はなくてよいのでまた返事をいただけませんか」という感じで初めの話が終わりました。電話を終えた後、私の中で、オーナーの声が弱く感じ、嫌な予感がしました。その予感が的中してしまいます。電話の後はまず私からメッセージを送ります。

「お電話ありがとうございました。もし意思がありましたら来週でも詰める部分の話をしにお会いしたいと思います。よろしくお願い致します」

いつもは返事の早いオーナー様でしたが、その日は返信がありませんでした。2日後になって返事がきました。

「電話ありがとうございました。しばらくは共同とのことでしたが、私は10月から別の所で働くことになると思います。そうなると事務所にいることが難しいので、運営のアドバイスはできますが、事務所にいながら作業をするのが難しいです。平日の夜や土日なら働けますが、お試しレッスンなどはいつ来られるか分かりません。その辺りを考えるとやはり難しいかな。というのが正直な気持ちです」

ここで引くわけにはいきませんが、押しすぎても良くありません。ここは相手の立場に立った行動が必要だと思いました。

そもそもオーナー様も私もこの会社を良くしたいという方向性は同じなはず。オーナー様にとってのボトルネックは何なのか、懸念点は何なのかをよく考えて行動することにしました。

本来の方向性は同じだと思うので相手の立場に立ち寄り添うことで共感し、同じ方向を向いていただけるように進めました。

著書『嫌われる勇気』で有名なアルフレッド・アドラーはこう言います。

「共感とは相手の目で見て相手の耳で聞き、相手の心で感じることだ」。

私は常々この言葉を意識し生活や仕事をしました。これをリマインドしながらこの交渉を進めていこうと強く思います。