豪雨の爪あと
七月の中旬。梅雨が上がったと思ったら、途端に猛暑となった。いきなりであるから、心の準備が出来ていない人も多かったのではないか。
今回の大雨は、大きな被害をもたらした。例年梅雨の末期は、ゲリラ豪雨などが襲来する要注意の時季である。今回も全国のあちこちで、崖くずれや河川の氾濫による浸水、家屋の崩壊など悲惨なものが多かった、とニュースは報じていた。
当地糸島でも爪あとを残していった。主に崖くずれが多い。
我が家では、家の前の道路が被害にあった。
もう二十年以上も前に、自前で作った舗装道路も、かなりの経年劣化で相当浮き上がっていた。
その膨らんだアスファルトの部分から濁流が浸入し、底地の土砂を浸食して、結果として道路が陥没してしまったのである。
雨が上がった後を見たら、あちこちで道路が抉(えぐ)られ一メートルくらい落ち込み、勿論、車も人も通行が困難となった。
検分に来てくれた関係者の車が、下が空洞となっていた舗装部分に車輪が乗った途端、そのまま陥没し結局ユンボの世話になったりした始末。
もともと、この道は付近の山道を兼ねているので、山水が流れ出したら、並みの側溝では捌(さば)き切れない状態なのである。
おまけに道路は、私道や里道(りどう)などと言った権利関係が複雑だ。田舎は得てしてこんな状況となっている所が少なくない。
そう言った環境もあり、数年前もこう言う状態になった事があったが、合併前の旧町など、当時の行政はなかなか立ち入って、相談に乗ってくれなかった。
しかし、今回は行政区長や町内の組長(会長)が、合併したばかりの市に交渉に行ってくれたら、即応し直ぐ工事に取り掛かってくれた。しかも、法定外道路、災害緊急工事と言う甲板まで立てて……。
有難い事、と今度ばかりは感謝・感激である。更に丁寧な仕事ぶりと見受けられた。
何時も道路工事などの時、「役所仕事」と揶揄の連発をしていた自分が、今度ばかりは役所さまさまの気持ちである。
市制が敷かれてまだ半年、こんなに変わる筈もないだろうに。
それとも市長の姿勢だろうか? 何れにしても市民にとっては有難い事ではある。(但し後日、何某かの請求書が回って来るのではないか? 来ないようにひたすら祈るばかり……)
人口も十万人を越え、移転のため新築中の国立大学の一部は既に完成し、多くの学生が通学している立派な市である。愛される住み良い街になってくるだろうか。
平成二十二年七月