認知症を起こす病気(せん妄、MELASを含む)
認知症の人に的確な治療やケアをするために、どんな病気が原因なのかを見分けることが大切です。血液の検査や遺伝子の検査も必要なことがあります。他の病気を除外するには大変な時間と費用がかかります。まず、認知症が改善できる可能性の高い病気を探し出します。
また、手術をすると良くなる認知症を優先的に診断・治療することも大切です。
普通「認知症ですよ」と告げられると、大抵の人にはショックです。だから、「認知症を持っていても、豊かな生活もできますよ」とフォローする必要があります。ただ、「自分の認知症が子孫に遺伝するかもしれない」と心配する人も少なくありません。これは認知症に限らず全ての遺伝病に当てはまります。
したがって、家族性アルツハイマー病、ハンチントン病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、CADASILなど遺伝する場合、遺伝子の異常がただちに認知症を発病させるものではないことを納得してもらう必要があります。
さらに、現在多くの研究により、新しい治療法が開発されている状況を伝え、家族への心理的な負担を和らげる必要があります。認知症疾患の診断は予想以上に骨のおれる仕事で、責任も重いものです。そのため、慎重に行わなければなりませんが、急を要する疾患もあるため、医師の力量が問われます。けれども、診断の手順を踏めば、大きな間違いをしないで済みます。