学生ローンの延滞は、2016年大統領選挙の演説でのリップサービスで悪化した。候補者のヒラリー・クリントンとバーニー・サンダースは若い有権者が学生ローンの重荷にあえいでいることを理解していた。
二人とも債務免除とか、新入学生への授業料免除などの様々な救援策を提示していた。選挙公約を聞いたミレニアル世代のうち、クリントンの勝利と債務免除を期待した者達はローンの支払を単純に止めてしまった。
クリントンの勝利は来ず、大量の債務不履行がやってきた。公約を2020年の大統領選でより魅力的なものにしようと民主党の候補者は、債務免除の提案を更に強調するだろう。このような偽りの希望によって生じる不履行の山が近づきつつある。
この学生ローンの失策は赤字の原因となるだけでなく、経済的なマイナス効果をももたらす。
若者が学生ローンで支払遅延になると、その信用格付けに赤信号が点る。信用格付けが悪くなると、就職、アパート入居、住宅ローンの借入、あるいは自動車ローンの借入に支障をきたす。
学生ローンの支払遅延と悪い信用格付けが、家庭の形成とそれに伴って生じる家具の購入、電気器具、シーツその他の消費を妨げる要素となる。
学生ローンの逆風は債務の対GDP比率に対し、経済成長を引き下げることで分母に、赤字を増やすことで分子に影響し、アメリカの国家債務を維持する観点から言うと二重の厄と言えよう。
学生ローンの損失が瞬間突風のようにアメリカ財務省を襲おうとしている。今の債務不履行率で行けば、年間2,000億ドルか、それ以上になりそうだ。
この不履行の損失見込みは公式予算の赤字見積もりには適切には計上されていない。しかし、不履行による赤字は、2019年とそれ以降には追加の数千億ドル増えると見込まれる。
この問題を財務的コンサルティングを組み合わせて、叡智を持って取り組まなかったこと、そしてもう少しましなローンの引き受けができなかったという事実は共和、民主両党が義務を怠ってきたというもう一つの例である。