「小さな会社」の商品の売り方

例えば、私が新車を購入しようとショールームに入ります。営業担当が、

「どんな車種がお気に入りですか?」

と尋ねます。私がそれを答えるのに戸惑っていると営業担当は各車両の機能的なスペックを話し出します。

通常、多くの購入予定者は、あらかじめ気になる車種の候補を決め、ショールームのエントランスをくぐります。その新しい車で「どんなことをしたい!」「あるいはこんな変化をしたい!」という思いがあります。

車の性能や機能ではなく、自分が新車を購入した後の変化をするために予算内、もしくは予算を少しオーバー程度の範囲で見つけたいのです。それをお手伝いしてほしいのです。そして、見つかったときには、営業担当から購入するための勇気というガソリンを注入してもらいたいのです。

しかし、「この車の燃費は…」と夢のない話を営業担当は行うのです。私がどんなライフスタイルで生活をしているのかを探ることなく行います。

新車を購入して私のやりたいことを聞き取り、それに最適な車種を紹介して、購入する勇気をもらえれば、即座に私はそのショールームにある車を購入したはずです。

これは、直接販売でも営業でも広告でも同じです。カタログの内容にそって商品説明をするだけの営業担当なら不要です。また、カタログがWebサイトやテレビCMになっているのと同じことになります。

老舗の和菓子店の販売であれば、贈答品が主力商品になります。よって、購入予定者が自分で食べるものではないのです。そして、贈る相手が自分と価値観が似ていて年齢などが近ければ、贈答の和菓子を選ぶのには苦労をしません。