遺言があるかどうかの調査
相続手続きは、遺言があるかどうかで流れが異なってきます。
葬儀後の落ち着いた頃でも構いませんので、まずは遺言の有無の調査をすることから始めるのがよいでしょう。調査をするうえで、注意しなければいけない点のひとつとして、遺言書は、書き直しが何度でもできるということが挙げられます。
もし複数の遺言が見つかった場合、内容が重複する部分については、原則として遺言の日付が新しいものが有効となります。遺言書が1通見つかったからといって安心せずに、しっかり調査しましょう。
■ワンポイント 遺言書は勝手に開けてはいけません
遺言書を見つけたら、封印を確認しましょう。遺言書が見つかったからといって、遺言書に封印がある場合は、勝手に遺言書を開封してはいけません。開封して直ちに無効になるということはありませんが、民法には、5万円以下の過料に処せられるという規定が存在します。もしも、うっかり開けてしまった場合には、焦らなくても大丈夫なので、すぐに専門家に相談するのがよいでしょう。
■相談する専門家
・行政書士
・司法書士
・弁護士等
具体的な調査の流れは以下のとおりです。
(1)最初の調査
自宅の遺品の中から遺言書が出てくる場合もありますが、亡くなった人が生前に自筆証書遺言を書いている場合、その遺言書を知人や親戚、あるいは専門家・銀行(貸金庫)等に預けている可能性があります。生前に付き合いがあった人には遺言書について尋ねてみることをおすすめします。
(2)公証役場での遺言調査
亡くなった人が公正証書遺言や秘密証書遺言を残していた場合、保管期間内は作成した公証役場に原本が保管されています。相続人であれば、亡くなった人が公証役場でこの遺言を作成したかどうかについて調査することができます。
また、公証役場での公正証書の保存期間は原則20年間と定められていますが、実際にはそれ以上の期間で保管している公証役場が多いです。
ただし、この遺言の作成日が昭和64年1月1日(平成元年)以降と昭和63年12月31日以前では公証役場での調査方法が異なりますので、以下の点に注意してください。