俳句・短歌 四季 2021.05.21 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第22回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 目の前を素早く過よぎり燕飛び 元気を出してと励まし貰う 夕陽照り緑が繁茂はんも躑躅つつじ映え 楽園として輝いている 湯上りの女子学生の艶やかさ 青年節の美しさ哉
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『青の中へ』 【第7回】 くんぷう 「車だから...」と躊躇していると彼女が「泊まったらいいじゃない?」と下を向いて呟いた。そういって二人はドイツビールをオーダーした。 【前回の記事を読む】突然話しかけてきた男性。運命を感じる出会いを果たし、ふたりの距離は急速に縮まっていく。コーヒーとパンを買い、二人で車に乗った。しばらく走ると世界遺産の街ヴュルツブルクに到着した。マリエンべルク要塞と石橋は街の代名詞となっている。またしばらく走らせるとヴァイケルスハイムに到着した。ヴァイケルスハイム城に続く庭園はバロック様式で美しく、紫衣と真亜は肩が触れる距離で歩くようになった…