上司の癖を見抜け
相性の良し悪しとは必ずしも直結しませんが、組織の中を生き抜く上でためになるのが、人事権を有する上司の「癖を知る」ことです。意外と見過ごしてしまいますが、知っていると、結構便利な時もあります。「あなたの上司の癖を知っていますか?」と問われて、すらすらと答えられる部下は、少ないものです。
「あれ、改まって聞かれると知らないなあ。何だろう」そう悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。「知っているけど、その『癖』が大嫌い」という方もいるかと思います。
また、往々にして、気づいていない場合もあるかと思います。
しかし、知るに越したことはありません。プラスに変換することができれば、「なお良し」です。
以前、こんなことがありました。新しい部門に異動して、先輩から仕事の引き継ぎを受けている時です。
先輩いわく、「どうしても上司の了承を得たいことが出たら、一緒に外出している時に、気軽にお願いするとうまくいくよ」
「本当ですか? そんなに簡単にいくんですか?」
見るからに強面な上司で、デスクで怒っている姿を、よく目の当たりにしていたので、思わずそう聞き返してしまいました。
「大丈夫。下手に社内で話すよりも、はるかにやりやすいから」
それから間もなくして、少し面倒な問題に直面することになります。確実に承認をもらわないと、今後の業務上、支障をきたしかねない内容だったので、前任者の助言に従って、社内では打診せず、一緒に外出するタイミングで、話を切り出してみました。
「実は、先日、こんなことがありまして、どうしても早めに処理しないとまずいんですが、いかがいたしましょう」
「そうか、分かった。いいよ。帰ったらすぐに申請書出しとけ。決済しておくから」
本当に、先輩の言った通りでした。実にあっけないというか、特に細かい説明をするまでもなくオーケーになるのですから、まさに効果てきめんです。
「ありがとうございます!」ひと言お礼を言って、一件落着です。
なぜ、外出中に相談するとうまくいくのか、は分かりませんでしたが、それからも、このパターンは「勝利の方程式」となって、たびたび窮地を救ってくれました。
上司には、想定外の「癖」があったりします。上司の癖を上手に味方につけて、いい意味で活用すると、思わぬ効果を発揮することになります。先輩の助言に、改めて感謝したのは言うまでもありません。
せっかくですから、もうひとつ、上司にありがちな癖を紹介します。
上司の中には、ある特定の「言葉」に、敏感に反応する人がいます。最初の頃は、気づかないかもしれませんが、だんだんと分かるようになります。
上司が、その言葉に反応する時は、どちらかというと悪いパターンにハマるので、未然に防げるのなら、防ぐに越したことはありません。日頃の上司の話しぶりや、言い回しの中で、該当する言葉はないか、注意深く観察してみても良いのではないかと思います。