目標設定とアクションプラン策定

さて、マッキンゼーの7つのSを使って、自分の組織のことを整理し始めたら、色々なことが見えてきたのではないだろうか。

自分たちというものがわかっているのと、わかっていないのとでは、目標設定およびアクションプラン策定の具体性は雲泥の差である。

やらなければならない活動があるのに、割り当てられる予算がない、実はリソースが足りない、事業を拡大したいのにそもそも自分たちが売りにしようとしているサービスのノウハウがまとまっていない。プロセスも整理されていない。役割がデザインされていない、など枚挙にいとまがない。

数年後にどういう組織にしていたいという想いがあればこそ、現実と目指したいところのギャップが見えてくる。

もちろんやれるのであれば、全部やるに越したことはないが、リソースが潤沢でないならば、重要かつ優先度の高いものへのアクションが後回しになるのは避けたいところだ。

目標はあくまでもゴール地点であるから、色々な方法・手段で到達することが可能なのである。目標を設定するだけでは、管理職の仕事を全うしたことにはならない。

アクション、つまりHow(どうやって?)の部分を工夫次第でコストを下げたり、プロセスを改善したりすることを考えて実行することも必要なのである。

最も効率よく目標を達成するために、最優先で対処しなくてはならないもの、重要度を考慮してやることを分類し、自分たちの使えるリソースを使った効果が最大になる、つまり費用対効果の良い活動を通じて、自分たちの組織を強くしていくことを考えることこそが、管理職の仕事のイロハのイなのである。

思い付きで「これやろう」、「あれやろう」が許容される部門や場面ももちろんあるが、組織化したことの意義を考えると、しっかりとした分析が伴わないアプローチはあまりお薦めできない。

具体的なアプローチとしては、「目標設定をする前の準備」の項で触れた通り、3つくらいの大きな枠で、何をするかを分類し、その下に、マッキンゼーの7つのSを基に出てきた課題や問題をリスト化する。

それらを眺めてみて、優先度と緊急度で絞り込みを行うプロセスである。はじめに、

①「組織の未来をより良いものにするための仕掛け作り(環境変化を見据えた戦略的な方向性付け)」、

②「短期目標を確実に成果にするための仕組み(組織の課題を特定し、近い未来の目標を達成する確率を上げる)」、

③「現行の仕組みの見直し(組織の機能をより強化する、更なる改善を摂り入れる、無駄を特定して更なる効率化を図るなど)」

に対して、7つのSに絡めて挙げた問題や課題をリスト化して3つのグループを作る。