俳句・短歌 句集 2021.04.28 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第8回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 農道のホース水噴きトマト熟れ 原発に隣る湾なり法師蝉 刈り残す稲穂に雨の降る日かな
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『ツワブキの咲く場所』 【第20回】 雨宮 福一 車に乗せられ、降ろされたのは人が集う場所。建物へ入ると、十字架が最初に目に入った。 【前回の記事を読む】いつか中を見てくれ…心不全で亡くなった親友が残した段ボール箱。そっと開けると、そこには聖書が入っていて…腕を引っ張り、起き上がるよう促される感触を覚え、私は驚いて目を見張った。腕をつかんでいたのは永ちゃんであった。玄関から吹き付けた風にあおられて、はっとして我に返る。手持ちにしている聖書に、永ちゃんが目を留めた気がした。「全く! ちゃんと眠ったか気になって来てみたら、玄関の戸…