俳句・短歌 句集 2021.04.21 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第7回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 郭公や夜明け一気に八ヶ嶽 梅雨晴れや轍に放る草の株 整然と畦に草積む朝曇
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『あなたと虹を作るために[人気連載ピックアップ]』 【第3回】 福田 恭子 夫が亡くなった。夫がいる日本に早く帰りたい…。帰国準備の中で発覚した飛行機の予約ミス。血の気が引いた。日にちを間違えている… ヴェネツィアでS先生は博史の同僚で、早稲田大学国際関係担当副理事。三カ月前にヴェネツィアでの会議のためにいらっしゃって、このアパートで夕食を差し上げた。そのときには息子もいて話が弾み、楽しいひと時を過ごした。S先生なら、ヴェニス国際大学への対処をお願いできる。「後任の先生のために、このアパートが必要なら、すぐに空けるから。いつでも使ってもらえるようにするから、とお伝えして」「わかった」「……ほか…