俳句・短歌 句集 2021.03.06 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第1回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 紫陽花を擦り抜けてゆく法事客 風花や貨物列車の軋む音 呆気なく野仏過ぐる野焼の火
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『峰坂物語』 【第3回】 橋井 尚 自分のもうひとつの国旗を確かめてみたい、日本に行ってみたい。――日系四世のナオミは、日本で夏休みを過ごすことになり… *幼心に抱いたナオミの素朴な疑問は、自分のもうひとつの国旗を確かめてみたいという思いにつながっていった。そうすれば、日本のことをもっと知ることができるし、海を隔てた遠くから、綺麗であってほしいアメリカのモザイク模様を見ることもできる。その思いが、セーラームーンへの憧れに始まったナオミの日本への興味をさらにかき立て、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんの生まれた国日本に行ってみたい、と願うようになっ…