第2部 学生生活
社会人学生生活始まる
2010年。この春始まった学生生活。
新しい環境に心が躍っている。今月からしばらくその様子を綴っていきたい。
九州大学統合新領域学府ユーザー感性学専攻感性価値クリエーションコース。ユーザーの感性に基づいた人づくり、ものづくりをしていこうという学問。
文理横断型として創設され、「感性」を研究する世界で初めての学府。2008年に開催された市民対象の公開講座に参加して新しい大学院ができることを知り、「これだ!」と進学を目指した。
一期生の試験には落ちたが、二期生として入学がかなった。それまでも大学院受験には挑戦していた。東京の私立大学に応募したこともあったが、書類審査であっさり落ちた。
しかしそれより条件的には恵まれている。九州大学なら地元で自宅から通える。しかも高校の同級生の多くが進学したものの、私は受験さえできなかった憧れの大学。そこの学生になれた。
かつての九州芸術工科大学(略称は芸工大)は2003年に九州大学と統合され、今は芸術工学部になっている。ユーザー感性学専攻は芸工の教授も多い。
私たちの本拠地は福岡市東区の箱崎にあるが、芸工の先生の授業の時は南区塩原のキャンパスに通う。入学式は新しくできた伊都キャンパスであった。
約30年ぶりの学生。かつての大学時代と環境は大きく様変わりしていて、体験すること一つひとつに驚く。まず入学前から学校のお知らせがEメールで届いた。入学式当日の案内だった。
休講もメールで連絡が来る。履修登録はネットを使ってやる。学生証にはICチップが入っており、図書館への入室は学生証をかざす。遠隔授業が面白い。
「ビジネスを学ぼう」という科目。講師はカリフォルニアオフィスにいらっしゃる大学OBの方。私の大学の4つのキャンパスと横浜の大学、計5カ所にいる学生がその先生の講義を聞く。
最後に質疑応答もあり、リアルタイムでやりとりができる。毎回800字のレポートが課せられており、大学のホームページから送る。
届くと「レポート受領確認」のメールが来る。今年の連休はお天気に恵まれていた。が、行楽日和をよそに、私は学校の宿題に追われていた。
8つの科目で宿題を抱えた。生涯発達心理学という科目は「発達とは」についてのレポート。情報価値編集論は「感性とは?」に答える写真や言葉探し。
ブランド価値創成論は、グループワークで、携帯3社について現状を分析し、どこのブランド力が強いかを探り、どうすればより強くすることができるかをパワーポイント(プレゼンテーション用のソフト)にまとめて、プレゼンテーションする準備。
自分の発想の乏しさと能力のなさには情けなくなる。学術書の読み込み、データ分析、パワーポイント資料作成など、これまでの私には縁がなかったこと。
戸惑いは大きい。が、それにもまして、新しいことを学ぶ喜び、深く考え仲間と議論する面白さが嬉しくてたまらない。
与えてもらえた貴重な環境。大切にしたい。