外資系企業のシンプルな成果主義

外資系企業で経験した成果主義の仕組みは、個人的な見解ではありますが、人事制度としては、実にシンプルなものでした。

まずは、期初に各人が勝手に目標を3つ掲げ、上司のレビューを受けます。その際に、部下が設定した目標を、上司が大幅に訂正することは、滅多にありません。

期末になると、目標に関しての達成状況を記入し、上司の最終評価を受けます。評価に関する、上司とのオフィシャルな話し合いは、1年を通してその2回だけです。

その後、評価に応じて報酬額が決まります。年俸制でしたので、金額はある程度確定していましたが、インセンティブボーナスで多少の変化はありました。

しかし、会社の業績いかんで、年収が乱高下することはなく、むしろ毎年、着実に増えていきました。年収の増え方は、上司との相性が良い時ほど大きくなった記憶があります。

また、この会社には、全社の利益が予定を上回った場合に実施される、「プロフィットシェア」という制度がありました。

世界中の全社員に、余剰利益を、隈なく還元する仕組みです。時に、相当額の臨時収入が入りますので、仕事に対するモチベーションは、大いに盛り上がることになります。

外資系企業の経営理念の根底には、株主への増配と同じレベルで、「人的資本にも利益還元する」というポリシーを感じます。

また、社員に対する利益還元の思想が、人事制度にも反映されているように思えてなりません(少なくとも、私が経験した外資系はそうでした)。

もうひとつ、特筆すべきことがあります。

外資系と聞くと、一般論ではありますが、実力主義が徹底していて、給料も、もらえる時は沢山もらえるが、何かあるとすぐにリストラされるなど、かなり荒っぽい印象があると思います。

確かに、その一面は否定できません。仕事についていけなくなった同僚は、早々に辞めていきますし(辞めざるを得なくなる、といったほうが適切でしょうか)、その後釜として、新しい仲間がすぐに入ってくる、といったことはよくありました。